ハイサイ!HARMOdesignの岸田こときっしゃんです。
今回は、自邸 光涼風樹の家の誕生のヒミツの巻であります。
沖縄に移住して18年。長らく理想の土地を求めていた所、地道な不動産屋さん通いが功を奏し、南に河川、緩やかに上る段丘の背面に緑豊かな里山が広がる、集落の一角を求める事が出来ました。饒波の里山の中にウタキのある杜があるのですが、そこに足を踏み入れた時にイメージは決まりました!(*’▽’)/ 赤瓦の拝所の前には皆が集まる広場があり、覆うように自生する木々の間からは美しい里山が見渡せます。亜熱帯の森と思えないほど光は涼やかで風は澄み切って心地よく、いつまでもここに居たいと思える素晴らしい場所です。地域の源流として大切にされているこの空間を素(もと)とし自邸に活かす事で、地域の時間や集積の中に溶け込む家が創れるのではないかと思いラフプランを進めました。
外観は里山の稜線に合わせて切妻屋根に赤瓦をのせ、外壁の左官は沖縄漆喰に琉球石灰岩の粉を調合したかき落としとし、玄関廻りは杉板張りで仕上げました。沖縄の材料、地域の職人を用い、地産地消でサスティナブルな建築を心がけました。
饒波の杜の配置に習い、7寸の大黒柱を樹木と見立て、南に開かれたリビングは6Mの吹き抜けになっており、小屋の梁組が木々の下に居るような心地よさと開放感をもたらします。吹き抜けに面したアトリエと子供室、その上のロフトから見下ろす風景はまるでツリーハウスの中にいるようです。大黒柱から北側の拝所にあたる部分には台所を配置し、隣接して納戸や洗面室・浴室を回遊動線で繋ぐことで家事効率も向上しました。沖縄は亜熱帯ですので断熱基準が除外されている分、遮熱対策が重要です。自邸では直射日光を遮る軒の出と通気工法の赤瓦屋根、外壁は外断熱とし樹脂サッシで熱損失を減らしました。大きな吹き抜けは新鮮空気の体積を増やしながら重力換気をスムーズにする上でも効果的です。なにより開放的で気持ちが良いです。湿度の高い夏場も調湿面材としっくいの効果でさらりとして快適です。それでも暑い時は空調に頼りますが、各居室にエアコンをつけるのはかなりのロスですので、自邸ではロフトにエアコンを設置し、各部屋にダクトで冷気を送風することでエネルギーの削減をはかっています。ブルックリン風の家が良いと言っていたウチナンチュの妻からは、饒波の杜のように地域に溶け込む建築を提案する私に、ローカル色が濃すぎてデザイン性は大丈夫なのかと当初は心配していましたが、出来上がった姿と森の中にいるような心地よさに、「森のロッジ風カフェスタイルも悪くないわね」と今では好評を得ています。里山の杜や集落内に残る古民家等、元から地域にあるものをリスペクトし活かしながら現代の完成で表現する建築が繋がり広がりを持つことで、地域がより豊かになっていく事を願っております。(^^♪